日々のエッセイ

海外旅行経験ほぼゼロの坊主がインドに旅に出た理由

 

人生で初めてインドに来た。

というよりも、海外自体がほとんど初めてみたいなものだ。

"ほとんど"と言ったのは、高校生のときに修学旅行で一度韓国に行ったことがあるから。だけど、何十人という日本人のダチと一緒に行動し、「コンニチハー!イラッシャイマセー!」と流暢な日本語で韓国人に迎えられる海外旅行は、全然"海外旅行"じゃなかった。

僕が思う海外旅行ってのは、著名な紀行文『深夜特急』で描かれるような旅のことで、異国の文化と触れ合って静かに胸を熱くするようなジャーニーのことだ!

他者への憧れの気持ちだけで人生の半分以上の出来事を動かしてきた僕は、かねてから"さすらいの旅"には強い憧れを抱いていた。

それは大好きな奥田民生が"さすらい"という曲でこんなことを歌っていたからだ。

「時代はさすらわぬ人ばっか 少し気になった」

「さすらいもしないで このまま死なねぇぞ」

こんなフレーズを高校時代に聴いてからというものの、

「オレはいつかさすらわないといけない」

と自分の人生に"さすらい義務"を課したんだ!

 

そうして、さすらいの強迫観念に押された大学時代の僕は、台湾への留学を申し込んだこともあった。(手近なところを選ぶあたり、僕のチキンハートっぷりをよく表している。)

しかし、悲運極まりないことに、台湾に飛び立つ前日に盲腸にかかり、留学を断念することになる。

「この世には神も仏もいない!!!」

病室で医者に向かってそう叫んでた(らしい。記憶にない)。このときは本当に打ちひしがれてたので、"坊主失格"とか言うのは勘弁して欲しい。

そんなバッドカルマな僕が渾身の思いで次に目指したのが、インドだ。といっても、ほぼ初海外で単独インドは流石にキケンと思ったので、旅慣れてる友人I君を誘って。(ここでもチキンハートを発揮している)

南インド チェンナイから始まり、東インド コルカタで終わりを迎える1ヶ月間の旅。長期旅行経験ナシ、炊事洗濯経験ナシ、唯一あるのは約100日間の修行生活のみ。そんなインドア系自宅大好き坊主は、インドで何を感じ、何を持ち帰ってくるのか?(そもそも生きて帰ってこれるのか?)そんな大きな問いを自分自身で抱えながら、インド行きを決意した。

自他共に認める箱入り息子の僕は、「インドに行く」なんて言うと、親からはひどい反対にあった。

しかも、旅立つ直前になって、インドで列車脱線事故で何百人が死亡。さらに、コロンビアを訪れた一橋大学の学生が現地のコロンビア人に射殺されるなんていうニュースが飛び交っていた矢先に僕が、
「インドがオレを呼んでいる!」
なんて言ったもんだから。

「お前はインドを舐めすぎや!」
とメタメタに説教される始末。友人からも心配された。

でも、誇大すぎるロマンシズムに身を任せてしまう傾向にある僕は、

「"さすらい義務"を果たすにはこのタイミングしかないんや。生と死の狭間を感じられるなんて最高やないか!」

とすっかりキメ込んでおり、反対を押し切って旅に出た次第である。

 

旅先にインドを選んだのは、3つの理由からだ。

1つはインドは仏教の聖地であるから。

僕はかねてより、
「釈迦は宇宙人なのではないか」という仮説を心の内に抱いていた。一端の僧侶としてはそんなこと考えるのは愚のコッチョーなのだが、釈迦の話を辿るにつれてどうしても宇宙人だと考えずにはいられなくなったのだ。

僕は僧侶として、釈迦は人間だと信じたい。このインド探訪は自らが生み出してしまった"釈迦宇宙人説"を否定するためのサーベイなのだ。釈迦にまつわる土地を巡り、史跡を調査して彼が地球人であったことを証明する旅なのである。

 

2つめは、偉大なミュージシャンがこぞってインドに行ってるから。
ビートルズがインドを訪れてホワイトアルバムという傑作を作ったことが知られているように、数多くのミュージシャンがインドに"何か"を見つけに出かけていく。好きなミュージシャンだと、元andymoriの小山田氏とか。歌詞にインド彷彿とさせるワードがワンサカ出てくるよね。

子供の頃から永遠の謎だったのは、
「ミュージシャンってインドで何を感じてんの?」ってことだ。その何かを僕は知りたい。

ミュージシャンがインドで感じたものと同じものを感じて、

「あっ、オレいまヒッピーってる〜〜〜〜〜インスピレーション、デカン高原から沸いてきた〜〜〜〜〜」と悦に浸るのが夢だ。

 

3つめは、旅行好きの人たちから「色んな国を回ったけどインドが一番だった」とよく話に聞いていたから。

僕は旅先でも、広大な自然とか、美味しいご飯とかにそこまでの興味を持てない。何よりも気になっちゃうのが人々の価値観とかルールとか暮らし方とか。幅広く言えば"文化"と言えるんだろか。

旅好きの知り合い曰く、
「インドでは今まで持っていた価値観が180度変わるぞ。インド人はヤバイ。」とのことだ。
幅広く"人間ヲタク"の僕、そんなこと言われたら行くしかないじゃないか!

 

僕の中に"インドがオレを呼んでいる病"が発症したのはこうした3つの理由からだった。

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