カジュアルに楽しむ仏教コラム

音楽好きなら分かる!? お寺の法要を10倍楽しむ方法

2016/11/17

 

こんにちは、副住職のみずきです。

突然ですが、皆さん、法要ってどういう気持ちで参加されていますか?

法要の種類によって様々ですが、亡くなった方をいたわる気持ち、先祖を敬う気持ち、乱れた感情を鎮めようとする気持ち……。いろんな気持ちを持ちよってくださっていることだと思います。

でも、中には「つまんない」。こういう人もいるのではないでしょうか?

おうおう、もうちょっと感情移入していこうぜ、と言いたいところなのですが、慣れ親しまない法要に対してそう言うのも難しい話なのかもしれません。

例えて言うなら、「ライブに一度も行ったこともない人が、いきなり友達に知らないアーティストのライブに誘われて参加することになった」って心境です。つまんないのは当然ですよね。

ですが、そんな人もライブの楽しみ方を覚えればどうでしょうか?ここではこのコールを入れる、このタイミングでジャンプする、ここではペンライトを振るなど。楽しみ方さえ分かれば誰だってそれを機にいろんな感情移入をすることができるのではないでしょうか?

 

さて、こう見えてライブ好きな私。ここで、あることに気づきました。

法要とアーティストのライブって似てるかも?

じゃあ、法要もアーティストのライブ同様、楽しめるのでは?

そこで、今回の記事では、法要とライブの類似性に触れながら、法要を楽しむコツをお教えしたいと思います。

法要とはどういうものなのかを知り、法要を体感するコツを知ることで、法要に対して想いを寄せていただく一つのきっかけになればと思っています。

 

法要にはライブのように"流れ"がある

アーティストのライブには「セットリスト」と呼ばれる曲目順があります。音楽好きからは、しばしば「セトリ」と略されて呼ばれるものです。

法要にも「差定(さじょう)」と呼ばれるものがあります。差定とは、お経の題目順のことです。アーティストの曲と同様、お経は、経題(曲のタイトル)と偈文(歌詞)で構成されています。

 

このことを知っていただいた上で、お盆の法要を楽しむために、さらにもう一つ知っていただきたいことがあります。

それは、仏教の法要にはライブと同様、“流れ”があることです。

例として、THE YELLOW MONKEYのライブのセットリスト(過去のセトリをいじくって私が考えました)と、私がお盆の法要で唱えている差定とを並べて見てください。

set-list

これを見ると、ライブのセトリは、初めは穏やかに始まり、中盤にキラーチューンのオンパレードがあり、最後にバラードなどの泣き歌で〆る、といった一つの“流れ”になっていることがわかります。

実は、仏教の法要の差定もそのような“流れ”に構成されているんです。差定の前半(序分)は、ゆったりと始まり、中盤(正宗分)に誦経や念仏一会、回向などの「見せ場」があり、後半(流通分)は少々の盛り上がりを見せる部分があるも、静かに終わりを迎えていく。

このように、法要もライブと一緒で「盛り上がり」や「落着き」といったお経の“流れ”があるということです。このこと一つを知っているだけでも、お経の聞こえ方は変わってくるはずです。

「あっ、今見せ場のところだな」とか、「和尚さん、ここは気合入れてるな」とか思っていただければお経の聞こえ方が変わってくるかもしれませんよ。

 

誦経でアップビートを体感せよ

drummer

盛り上がりを見せる中盤部分(正宗分)でも、体が思わず動いてしまうといっても過言ではないのが「誦経」。というのも、誦経では木魚の連続打ちが披露されるからです。

誦経とは、長―いお経を連続で木魚を叩きながら読経することです。ポンポンポンポンポンポンという木魚の一定のリズムに合わせて、お経が唱えられていきます。

また一般的に、誦経では、木魚のリズムは変化していきます。初めはゆっくりはじまり、中盤に向かって加速し、終盤に向かって緩やかになっていく。

誦経が始まった際には、その加速/減速といったような、変化していく木魚のリズムを感じていただければ法要を楽しむ一つの要素になるのではないかと思います。

 

木魚打ちに眠る黒のリズム

誦経の木魚打ちの中でも、特徴的なのが浄土宗の「合間打ち」です。合間打ちとは、音楽の用語でいう「裏打ち」のこと。

裏打ちが分からない方に簡単に説明すると、

 

aimauchi

この図のように、普通のリズムでは、「なむ」と同時に木魚を打つのに対し、裏打ちのリズムでは、「な」と「む」の間に木魚を打ちます。

音楽好きの人はもうすでにピンと来てるかもしれないですが、この裏打ちのリズムとは、黒人音楽(ブラックミュージック)に使われるリズムなんです。特にジャズで多用されるリズムとして有名ですよね。

残念ながら、浄土宗の木魚打ちが裏打ちになった背景と、黒人音楽とは何の関係もないのですが、それを逆にとらえれば偶然的に浄土宗は黒人音楽とシンクロしていたと言えるのではないでしょうか。その意味では、浄土宗の僧侶には黒のリズムが眠っていたということもできるかもしれません。

もし浄土宗の法要に立ち会ったときは、「ジャズだ!!」とか「スカだ!!」とか、自由な感性で木魚打ちを体感してください。

 

コールアンドレスポンスでともに法要をつくりあげる

concert

ライブの醍醐味といえば、アーティストと観客とのコールアンドレスポンスですよね。

ボーカルが「盛り上がってるかーい!??!?!?!?」とスタンドに訊ねると、観客が「イぇぇぇぇぇい!!!!!!!!」と答える。広い会場が一体となって一つのステージを盛り上げているあの一体感はライブの一番の醍醐味と言っても過言ではありません。

コールアンドレスポンスの中でも、特に一体感を味わえるのが、ボーカルの「一緒にー!」との合図のもと、サビを会場全体で大合唱するよくあるアレです(正式名称がわからない)。

 

実はこの大合唱のコールアンドレスポンス、法要にも取り入れられております。

浄土宗の場合、合唱の合図は和尚さんが言う「同唱十念(ポンッ(木魚))」になります。それに続けて「南無阿弥陀仏 南無阿弥陀仏・・・」と和尚さんと声を合わせて唱える形になります。

 

え?そんなの恥ずかしいって?

この「同唱十念」は、ライブの終盤でボーカルの言う「一緒に―!!!」とか、「歌えー!!!」とかと同じ発言なんですよ。なので、レスポンスしてくれないと和尚さんはめちゃくちゃ悲しい気持ちになります。

ライブと一緒で、法要も和尚さん一人でやるものではなく、参列している全員でつくり上げるものですから、一緒に声を出すことで一体感を感じていただければ、より法要を楽しんでいただけるのではないかと思います。

 

まとめ

以上、アーティストのライブと絡めて、お盆の法要を楽しむコツを書いてきました。

「坊主が法要楽しむコツを教えるなんて、勘違い甚だしい! 法要を務める側である坊主が努力するべきだろ!」

こんな意見もあるかとは思います。これは正しい意見で、もちろん僧侶は努力しなければなりません。

しかし、ただ1つ言えることは、法要は僧侶1人で行うものではないということです。僧侶1人の力でできる法要には限界があります。より良い法要をするためにはやはり、皆さまの力が必要なのだと、そう思うことがここ最近増えました。

 

なれ親しみにくくてなかなか想いを寄せることができない法要。まずは「法要を楽しむ」という姿勢から始められてみてはどうでしょうか?

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